佐々木輪店の完成車組み立て
【佐々木輪店の完成車組み立て 2011年版】
【佐々木輪店の完成車組み立て 2007年版】
キャノンデール07モデル。
佐々木輪店の組立て(BBタップ・フェイスカット・ワイヤーハンダ付け)作業の一部をご紹介したいと思います。
写真はダンボールから本体を取り出して梱包材を取外した状態です。
“完成車”とよく呼ばれていますが、実際にはバラバラの状態で各バイクショップに届けられ、それをそれぞれのお店で手間をかけ時間をかけ愛情をかけて“完成車”に組み上げています。
シートポスト挿入部です。
断面の角のバリを削って滑らかな状態に修正しています。
大量生産の工業製品ゆえ細部の状態はバラつきがあったり手直しを入れたい場合もあります。
バリをとることでシートポストの上下に伴うキズを防ぐことができます。
またカーボン製シートポストの場合は強度低下の原因になる為キズは大敵なので不可欠な作業です。
フロントフォーク周辺もちょっとした下準備を行います。
フォークを外すために、まずはステムを外します。
ステムが外れてカーボン製のフォークコラムが見えます。
この後スペーサーを取り外します。
カバーを上にずらすとベアリングが見えます。
センターのスペーサーを取外すとフォークとフレーム本体が分割できます。
フロントフォーク側のベアリングとの接触部分にグリスを塗ります。
フレーム側も同様です。安定した接触の為、またサビを防ぐためにも重要です。
カートリッジベアリングのインナーレースとアウターレースの間には水やゴミを防ぐシールリングが装備されています。
さらにその隙間を埋めるようにグリスを塗ります。
フォークを差し込んでセットします。
センターのスペーサーのテーパー部分にもグリスを塗ります。
噛みこみやサビによる固着を防ぎます。
フォークの下準備が終わったら作業台に固定してBB周辺の作業に取り掛かります。
ここでのメインはBBタップ&フェイスカット作業なのですがクランクやBBセットが付いている為、これを外すことから始まります。
まずは左クランクを外します。
専用工具でキャップを外し、ストッパーを外し、アクスルを固定している2本のボルトを緩めます。
左クランクが外れました。
右クランクと一体のBBアクスルをこの部分で固定しているので、この状態でアクスルを左側から押し込むと反対側に右クランクが押し出されてきます。
押し出された右クランク&アクスル。
さらに引っ張ると完全に外れます。
専用工具でフレームに取り付けられているBBセットを外します。
一般的なフレームは右側が逆ネジになっています。
BBセットを取外してグリス等を拭き取った状態。
ここからが本番です。
やっと修正作業に取り掛かることができます。
修正作業の第一段階。
BBシェル内側のネジにタップをかけて正確な寸法にします。
溶接時の熱による歪みのため真円ではなくなっていたり、色々な理由でネジ山が変形していることがあります。
また塗料が付着している場合もあります。
全て正確な組み付けの妨げになるため、修整します。
またこの後の作業のための「ガイド」を正確にセットするためにも不可欠です。
最初は手で注意深くセットします。
写真はセットされた状態ですが、この前にBBシェル断面の外周、内周をかるく削っています。
タップが正しい位置にセットされたのを確認したらハンドルを取り付けます。
切削油を使って少しずつ回していきます。
作業は左右交互に少しずつ行います。
特殊なガイド付きタップなので左右のタップのセンターを一致させた状態で修整できます。
タップに切子(削りクズ)が付いています。
BBシェル断面は溶接の影響などでオーバーに言えば楕円のような状態になっている場合がほとんどです。
この切子は主に、周長がそのままなのに楕円になったために内側に出っ張ってしまっていた部分が削り取られたものです。
タップをかけてネジを修整したら次はフェイスカットです。
BBシェルの側面をセンターに対して垂直な平面に、かつ左右の側面が平行になるように修整します。
写真はフェイスカット工具のガイドです。左右からのガイドが中で連結するようになっていて正確な修整を可能にしています。
このガイドが正しい位置にセットされるためにもBBタップ作業は非常に重要です。
ガイドをセットする為の専用工具です。
作業しやすい形状、寸法に工夫されています。
ガイドがBBシェル内にセットされました。
ここにフェイスカッターをセットします。
BBシェルを挟んでカッターの反対側にはスペーサー、スプリング、アジャスター等を取り付けます。
手で押し付けて削ったのでは均一な圧力がかかりません。
スプリングの圧力で刃をBB側面に押し付けています。
ハンドルを持った手は左右に同じ力がかかるように、また状態を見ながらなるべく一定のスピードになるように調整しながら回します。
切削の途中で、ゆるめて状態を確認します。
切子は本来の寸法よりも余計に出っ張っていた部分が削り取られたものです。
修整が完了しました。
予定通りの位置にベアリングが左右並行にストレスなくセットされるようになります。
当たり前のことの様にも思えますが、実は最初の状態で満足できるものはなかなかありません。
BBセットを取り付けます。
ネジ部分とBBシェルの側面には必ずグリスを塗ります。
しっかり締まり、緩める必要があるときはすんなり外れます。
クランクを取り付ける前に5ピンが締まっているか確認しています。
意外と緩いことが多い部分です。
アクスルとクランク内側側面にグリスを塗ります。
さび付きや異音を防止します。
左クランク内側のBBに接触する部分も同様です。
左クランクを仮止めしたら専用工具でフィキシングボルトを固定します。
その後固定ボルトをしっかり締め付けて固定します。
ストッパーをかけて完了です。
組み立ての最後の工程です。
インナーワイヤーの先端は適切な長さにカットしてハンダ付けして仕上げています。
ハンダやフラックスが車体に付かないようにウエス等で覆っています。
標準ではインナーキャップを使用しますが、トライアスロンやレース用バイクには、ワイヤーの先端にハンダ付け処理を施します。
こうすることにより、急な整備(特にレース会場で)などでインナーワイヤーを外す必要ができた時に、先端がバラけて元に戻せなくなるということがなくなります。
完成!!
キャノンデール CAAD 9
カラー/CLR(クリア)
サイズ/52
税込¥218,000
当店ではキャノンデールロードバイクの全てに、BBタップ加工・BBフェイスカット・インナーワイヤーがスチールの場合ステンレスに交換し先端のハンダ付け処理を施しています。
【Category; カスタム&メンテナンス 】-【2007/02/21Update】